TOKYO13 経過報告 (from http://tokyo13.adventist.jp/)

チャレンジ

 現在、東京・横浜の首都圏の人口は3,700万人で世界一の規模を誇っています。しかしながら、この地域に存在するのは、わずかに20の小さな教会と3,500人のアドベンチストです。アドベンチストは、10,000人の人口に対してわずか一人という状況です。教会は高齢化し、什一も年々減少するという厳しい現実の中にあります。東京という大都市に住む人々は、世俗社会の中で、絶対的な価値観を見失い、飼い主を見失った羊のようです。
 昨年、Lee総理が北アジア太平洋支部の大都市伝道(Mission to the cities)プロジェクトのターゲットシティーとして「東京」の名前を挙げたとき、日本教団のリーダーたちはこのことについて話し合いました。弱体化し、高齢化している日本の教会が、果たしてこのような大きなプロジェクトに乗り出すことができるのだろうか? 世界総会の期待を裏切り、何の実も残らず、虚しく失敗してしまうことにならないだろうか…? いろいろな不安もありましたが、日本教団は、信仰を持ってこの大都市伝道プロジェクトに乗り出すことにしました。今、立ち上がらなければ、今、この大きなチャンスを生かさなければ、教会は日本の人々が滅んでしまうのを指をくわえて見ているだけで終わってしまうかもしれません。
 昨年5月末に支部の役員と日本教団の役員が、最初にこのプロジェクトの可能性についての話し合いを持ちました。それを受けて、日本教団の役員は6月11日に首都圏の教会の牧師たちと話し合いました。そして翌日は支部の役員も来日し、共に語り合い、祈り、このプロジェクトをスタートさせました。
 正直に言えば、最初から全ての牧師たちが、成功を確信し、信仰を持ってこのチャレンジを受け止めたわけではなかったかもしれません。むしろ、大きな不安を抱えたまま、またある牧師は、上から押し付けられたプロジェクトだ、ととらえたかもしれません。しかし、とにかく私たちはスタートしたのです。


チームによる伝道体制

 組織としては、教団の大都市伝道委員会を上部組織として作り、その下に教区の大都市伝道委員会を立ち上げました。そして教区の大都市伝道委員会の下に地域別・言語別のチームを作りました。西東京チーム、原宿チーム、多摩埼玉チーム、西巣鴨チーム、Yokohama13チーム、英語・スペイン語チーム、韓国語チーム、中国語チームの8つです(後にタガログ語チーム、青年チームが加わりました)。伝道のポイントはフロントラインにある教会ですから、これらのチームが主体となって準備を進めていきました。
あるチームは、牧師たちの牧会力を上げるために、引退牧師を講師として招き「牧会研究会」を立ち上げました。あるチームは、これまでほとんど交流がなかった教会同士のネットワークを強化するために、合同祈祷会を定期的に行うようになりました。
 そして、教団教区がまず力を入れたことは、祈りと御言葉によるリバイバルです。そのために北アジア太平洋支部のリバイバリスト・洪光義牧師を招いてのリバイバル集会を行いました。洪光義先生には何度も日本に足を運んでいただき、各教会をめぐってのリバイバル集会を導いてくださいました。また韓国からは権奇容長老を招き、驚くべき開拓伝道の証をしていただきました。
 またあるチームは大規模なキャンプミーティングを行い、信徒の意識を高めました。他のチームは、プレ集会や合同礼拝などを企画しながら、信徒参加意識とミッションスピリットを高めていきました。


関係伝道

 TOKYO13の伝道基本姿勢は「関係伝道」です。「人の心を動かすにはキリストの方法だけが真の成功をもたらす。①人間と交際しておられた間、②救い主はその人たちの利益を計られ、③同情を示し、④その必要を満たして信頼をお受けになった。そして『わたしについてきなさい』とご命令になった。個人的に努力をして人々に近づいていくことが必要である。・・・納得させる力と祈りの力と神の愛の力が伴うならば、この働きが実を結ばずにおくはずはなく、必ず結ぶのである。」(ミニストリー・オブ・ヒーリング115ページ)
 このエレン・ホワイトの文章にあるように、私たちは、キリストの方法を私たちの方法とし、「関係伝道」を強化することに努めました。
 そのために、教団・教区・教会は、それぞれがすでに持っているネットワークをもう一度掘り起こす作業から始めました。例えば、広島三育学院高校はこれまで約4,000人の卒業生を輩出してきましたが、その多くは教会につながっていません。学校を卒業したら、教会も卒業するというパターンでした。首都圏にはそのうちの約1,000人がいると言われています。しかし彼らはかつて福音に触れたことのある人たちです。彼らともう一度接触し、友情関係を回復し、教会に取り戻したい……。そんな思いから、8月に東京で大同窓会を開きました。歴代の院長・校長・舎監をお招きし、450名の参加者を得ました。
 また、統一協会に入ってしまった若者たちを救出し、そのご家族をケアするエクレシア会の働きは約40年にわたって続けられてきましたが、その間、約200名の若者がアドベンチスト教会でバプテスマを受けました。一方で、統一協会は脱会したけれども教会には繋がっていない人々が多くいます。その名簿は1500人を超えています。彼らもまたかつて福音に触れたことのある人たちです。彼らとのネットワークを再構築するために、ニュースレターが発刊され、7月に彼らを対象にした修養会が開催されました。
 かつて東京ではbeehiveミニストリーという青年伝道が行われていましたが、その働きを通して、多くの働き人が生まれ、育成されてきました。一方で、そこで導かれた若者たちで、既成の教会に繋がっていない人たちも多くいました。彼らは今、子育て世代に入っています。彼らにもう一度アプローチするために、コンテンポラリーなスタイルで礼拝するTOKYOワーシップが立ち上げられました。不定期ですが、小金井教会でこのような礼拝伝道の試みが始められています。
 文書伝道部と福音社は、首都圏のサインズの読者に働きかけ、都内のホテルでサインズ読者感謝会を開催し、約100名の読者が出席しました。
 また各教会では、長欠者の再訪問や過去の講演会出席者、VBS出席者、PFC経験者の名簿を用いてのアプローチがなされました。
 このプロジェクトを通して、信徒一人ひとりが伝道者としての意識を高め、自分の愛する家族や友人や近隣に住む人たちへアプローチを始めたことは大変大きな変化でした。


サポート

 このプロジェクトのために海外から多くの経済的・人的サポートを頂いていることを感謝します。世界総会からは多くの伝道資金とともに、大きな関心を寄せていただきました。T・ウィルソン総理を中心とした世界総会とのTV会議や、GTウン総務やマイクライアン副総理には二度来日していただき、牧師たちとのミーティングも持っていただきました。アドベンチストミッションの分野からも先生方がセミナーを持ってくださいました。
 北アジア太平洋支部のサポートも感謝します。李総理によるプレ集会、洪光義先生によるリバイバル集会の他、権政行先生には何度も日本に足を運んでいただきました。韓国人教会や華人教会へのサポートだけではなく、講演会の具体的な準備セミナーを二度にわたって持っていただきました。プーン先生夫妻には家族伝道のためのセミナーを開催していただきました。
 また韓国やドイツからの伝道チームによるサポートも感謝致します。ゴールデンエンジェルスには5月に日本ツアーをしていただきましたが、TOKYO13の講演会ではほぼすべての集会において音楽奉仕をしてくださっています。
 One Year in Missionの宣教師の働きにも感謝します。8月から東京中央教会に1名の宣教師が派遣され、9月からは合計4名の若い宣教師たちが東京中央教会と東京韓国人教会を中心に伝道を開始しています(12月まで)。言語の問題はありますが、それでも若い世代への弟子訓練を試みてくださっています。


42Talks

 この9月から10月にかけて収穫のための講演会が始まりました。8つの会場で、合計42回の講演がなされます。

<多摩・埼玉チーム>
 9月14日~16日までの3日間、立川教会において日本教団総理の島田真澄牧師によって「永遠の命への決断」をテーマに行われました。2日目と3日目は大型台風が首都圏を直撃し、交通機関もマヒした状態の中でも多くの方々が講演会に足を運んでくださいました。2日目にはバプテスマ式も行われました。(出席者:初日から167人、117人、82人)

<横浜チーム>
 立川教会と同じ9月14~16日の3日間、亀甲山教会において開催されました。ドワイト・ネルソン牧師が「希望―日はまた昇る」というテーマにアドベンチストの教理を中心に語られました。台風の影響からは守られ、出席者は3日間それぞれ204人、210人、203人でした。ゴールデンエンジェルスはこの3日間、立川と横浜の2会場を行き来しながらの奉仕でした。

<原宿チーム>
 ネルソン先生は横浜での講演を終えたあと、東京中央教会で5日間の講演を行いました。出席者は初日からそれぞれ、180人、164人、168人、175人、そして最終日はなんと410名が詰めかけました。

<西東京チーム>
 9月15日から土日ごとに、4週間にわたって、4人の日本人講師による「この人による以外救いはない」という計8回の講演が予定されています。現在その半分が終わりましたが、毎回200名を超える出席者が与えられています。

<東京華人教会>
 9月18日から4日間にわたって、立川教会において行われました。中国教団のダニエル・ジャオ総務が講師として奉仕され、熱心な招きに、4名の方々がバプテスマを受け、さらに3人の方がバプテスマの決心をしました。

<東京韓国人教会>
 9月20日~28日まで「今も希望がある」というテーマで権政行先生によって行われています。韓国とドイツから26人の医療奉仕団が来日し、地域の方々との接触を通して新たに35名の求道者が与えられています。

<TOKYO13 By Youth & For Youth>
 9月7日と22日に青年による集会も持たれ、それぞれ100名を超す若者が集まりました。7日の集会のメッセンジャーは青年たちです。彼らがイエス・キリストにある熱い思いを語り、大きなインパクトを与えました。22日は午前・午後にわたってドワイト・ネルソン先生が青年たちに素晴らしいメッセージを語ってくださいました。集会の様子はLIVE中継され、会場に来ることのできない方々にも視聴されました。
 
 この他にも10月にはジョー・オーベ・Jr 牧師によるタガログ語の講演会、島田真澄総理によるYokohama13講演会がそれぞれ3日間行われる予定です。また11月にはフォローアップ集会として、「国際リバイバル修養会」が埼玉で開催されることになっています。

 TOKYO13では、バプテスマはこの講演会では行わず、今後、各教会単位で行われることになります。各地の講演会では、日曜日に教会に行っている方も多数出席され、大変興味を示されたようです。また、長期にわたって教会から離れた方も、戻ってこられました。この講演会が、教会員のご家族への伝道の良い機会となっているようです。
 多くの方々が、決心の呼びかけにこたえられ、住所やメールアドレス、電話番号を記録下さっています。内容を詳細に確認し、これから各教会では具体的なフォローアップに入ります。引き続き皆様のお祈りをお願い致します。